赤い実のなる木の下
この物語は、永遠に歳を取らず死なない世界を舞台に、ただ一人“寿命”を持って生まれてしまった少年・川崎颯斗の生涯を描く。
世界の果てと呼ばれるその国では、死は存在せず、時間は止まったまま緩やかに続いている。しかし、赤い実のなる木の下で生まれた者だけは例外であり、寿命を持つ“呪いの子”として忌み嫌われる運命を背負う。
颯斗はその呪われた出自ゆえに町の人々から疎まれながらも、病弱な母(実は川崎輝)を支えるため、薬草を調合し、料理を作り、歌を歌いながら懸命に生きている。彼の瞳はルチルクォーツのように透き通り、白と黒が混じる髪は、永遠の世界において異質な“終わりの色”を象徴していた。
一方、颯斗の母・川崎輝は、かつてこの国の王・水鳥川隆輝と深い関係にありながら、ある理由から王宮を離れ逃げ延びた人物だった。彼女は難病に侵されながらも、息子の生き方を静かに見守り続ける。
そしてこの国を治める王・隆輝は、今もなお過去に失った輝を忘れられずにいる。第一王子・彩人は冷静な観察者として、王国の均衡の中で“感情”というものを見つめ続ける。
寿命を持つ少年と、永遠を生きる人々。
その対比の中で、やがて明らかになっていくのは、「呪い」と呼ばれた存在こそが、この歪んだ世界の“真実”を揺るがす鍵であるということだった。
死なない世界に生まれた“死へ向かう少年”は、やがてこの世界そのものの在り方を変えていくことになる。
ー 595文字
favorite2
grade1
update 1日前